電子的コミュニケーションにおける

社会関係の研究

本文書は、2000 年 12 月東京大学に提出した学位請求論文の序論を一部改訂したものである

要 旨
今後急速に利用が進むと考えられている電子的コミュニケーションは,その優れた機能が評価される一方 で,さまざまな社会問題も引き起こしている.本論文は,ネットニュースで交わされるメッセージを統計 的指標を用いて定量的に分析し,ネットニュース上に形成された社会関係に関する社会学的知見を参照し た考察を加えることにより,社会の将来の方向を洞察することを目的として書かれたものである.ネット ニュースメッセージの分析は,ニュースグループの利用法を議論するニュースグループに4年間にわたって 投稿されたすべての記事を,参照関係に基づいて一連の議論(スレッド)に分類し,いくつかの大きな議論 に対して,読解および,主成分分析と周波数分析を組み合わせた新たな手法により,対立点を抽出し,そ の程度を数値化した.分析で得られた主な対立点は,正確な情報に高い価値をおく普遍性指向と,暖かみ のある人間関係を求める仲間社会指向の対立に集約される.この対立は,学術ネットワークにはじまり商 業利用が拡大したインターネットの歴史的経緯と,規模の拡大に伴う村落的共同体から都市的共同体への 移行に対応している.電子的コミュニケーションは,普遍性の追求を促進する文字の媒体であると同時に, 情緒的結合を促進する同時的かつ双方向媒体である.この特性は,利用上の混乱を招く原因となると同時 に,個人のアイデンティティ形成を手助けするコミュニティと,公正で開かれた社会形成との双方に,電 子的コミュニケーションが機能する可能性を持つ.これら双方の社会関係を両立する社会モデルとして, 統一された接続規約の強制と,接続組織の多様性を許容するインターネットの基本思想と,その社会モデ ルの拡張について論じた,
ABSTRACT
Electric communication is expected to grow rapidly in near future. The advanced functions are recognized, but on the other hand, it causes various social problems. In this thesis, sociological discussions are adopted on the society of the net news and the social relationship is compared with the result of statistical analysis on the net news messages. The analysis was done for all messages posted in a newsgroup for ``discussion on usage of the net news'' during four years. The messages were gathered to the threads by the reference relationship, and for several large threads, conflicts were extracted by a new method, a combination of principal common analysis and frequency analysis, and also by reading the thread contents. The conflicts were abstracted to a conflict between intention of universality, that values the accuracy of information, and intention of comfortability that seeks a community of friendship. The conflict can be explained by the historical background, that is, started as an academic network and then commercial use were expanded, but also by the inevitable change with the growth of the scale, that is the same change from village community to urban community. The electric communication media is a literal media that encourages intention for universality and also a simultaneous bidirectional media that encourage emotional relationship. The property seemed to be a cause of confusion. But also, it may build a fair and open society as a community to help members to establish their identities. As the socal model, the principle of the Internet and its expansions are discussed.
謝辞
本研究を進めるにあたっては,東京大学先端経済工学研究センターの児玉文雄教授,東京大学先端学際工 学研究センターの青木保教授(現在政策研究大学院大学教授),同廣松毅教授(現在東京大学教養学部教授) 及び国立情報学研究所の矢野正晴助教授の各先生にご指導をいただきました.また,解析データ収集には 北陸先端科学技術大学院大学の fj アーカイブを利用させていただきました.ここに感謝の意を表します.
リ ン ク
OCN に置いたホームページ
Infoseek に置いたホームページ
楽天に置いたホームページ&日記
掲示板 : 議論のための場所 (閑散 ^-^;)
メイル : 私への密やかな連絡用。ご意見、ご注文もどうぞ


1.電子的コミュニケーションの広がり

2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突
3.電子的コミュニケーションの多面的性格
4.論文の目的
5.ネットワーク社会に関する既存の研究
6.研究のアプローチ
参考文献
近年,コンピュータを通信回線で接続した電子的コミュニケーション技術が急速な進歩を遂げ,社会のあ らゆる分野で利用されるようになった.電子メイル,ウエブ,電子掲示版等は,組織内部でのコミュニケー ション手段として,あるいは,組織間のコミュニケーション手段として広く用いられ,また,組織を離れ た,個人の立場での利用も拡大している.

電子的コミュニケーションは,技術的にはコンピュータと通信回線の組み合わせで構成され,コンピュー タの持つ多彩な機能と,通信回線がもつ電話と同様の世界的広がりは,その際立った自由度と多様性を形 作る.

電子的コミュニケーションは,従来のコミュニケーション手段の持つさまざまな特性をあわせもつ.文書 を作成し,電話や放送のようにリアルタイムで伝達し,書籍やレコードのように長期にわたって保存する ことができる.文書には文字だけでなく,図形や写真,音声や動画を含めることもできる.電話や手紙の ように特定の個人に送ることも,新聞や雑誌のように多数の読者に向けて公表することも,テレビやラジ オのようにリアルタイムで放送することもできる.情報は蓄積され,書庫のように個人的に利用すること もできるし,書店や図書館のように幅広い人々にこれを提供することができる.電子的コミュニケーショ ンの広がりは郵便や電話と同様に全世界のあらゆる種類の組織をカバーしており,遠隔地への情報伝達手 段の中では最小のコストで利用できる.また,検閲は事実上困難であり,国境や組織を越えて多種多様の 情報が自由に多量に伝達されている.

新しいコミュニケーション技術の普及は,社会の新しい情報インフラストラクチャーとして認知され,そ の優れた機能の経済効果が期待される一方で,社会に混乱と不安も与えている.

ウエブを使いはじめた者が最初に驚くことに,税関を通過させることが難しいと思われるポルノグラフィー がいとも簡単に手に入ることがあげられる.海外にあるポルノグラフィーのサービスサイトを国内法で規 制することはできず,また,電話回線で送られるこれらの信号を傍受し,差し止めることは,技術的にも 困難である上,検閲の問題も引き起こす.ポルノグラフィーの流通と同様な問題は他にも多く,買春,禁 止された薬物,鼠講などの宣伝,違法複製物の流通,コンピュータウイルスを含むメッセージ,兵器や薬 物製造法などの危険な知識,クレジットカード番号や計算機パスワードなどの秘匿されるべき情報,ナチ ス礼賛などの歴史認識,公開から保護されるべきプライバシーにかかわる情報や少年犯罪者の氏名や顔写 真等々,流通が社会的に抑制されているさまざまな情報について問題となっている.現在では,これらの 社会的に好ましくない情報がインターネットを介して流通し,一般の人々が容易にアクセスできる状態と なっている.

「世界に向って情報発信」はインターネットプロバイダの宣伝文句にもなっている.一般の個人でも, ネットニュースやウエブに参加することで,不特定多数の人がアクセスする公開の場に,容易に情報を提 供できるようになった.誰でも情報を発信できる道具の提供は,個人に大きな機会を与えると同時に, その特性を十分に理解しないで使う人たちを危険にさらすことにもなる.インターネットの参加者の多く は,情報の発信に伴うさまざまなリスクを十分には認識していない.顔を合わせたこともない他者とのコ ミュニケーションには一定の表現力が要求されるにもかかわらず,このような能力が十分でないままに, 配慮を欠いた情報を発信してしまうことも多く,「フレイム(罵り合い)」を各所で巻き起こしている.ま た,インターネットの公開性を十分に認識せずに個人情報を公開し,後で後悔する場合もある.更には, ねずみ講や詐欺,コンピュータウイルスの感染等,さまざまな犯罪行為に巻き込まれる危険性も増えてい る[判例時報 97].

インターネットを新しいビジネスの機会として捉えることが,多くの企業に広がった.これらの組織の中 には,電子的コミュニケーションの技術や文化・規範を理解せずに利用を急ぐものも多く,また,倫理観 に乏しく,他人の迷惑を顧みない団体も含まれている.例えば,相互の協力関係によって支えられている ネットニュースに大量の宣伝文書を撒き散らしたり,ネットワーク上で得た多量の個人アドレス向けに宣 伝文書を電子メイルで送るといった迷惑行為が日常的に行われている.

電子的コミュニケーションは,電話と同様の浸透力と,印刷物やレコード,映画などと同様の高い表現力 をあわせもつ強力な伝達手段であり,従来の社会的規制が想定していない新しい伝達手段である.更に それは,出版社や放送局のような限られた団体だけでなく,あらゆる組識,さらには個人でも利用できる. このことは,さまざまな表現形式のそれぞれの分野で,情報の伝達に対する社会的管理を困難にする [Lyotard 79].

電子的コミュニケーションにおける情報流通管理の困難さは,社会に負の効果を与えるだけではない.今 日の近代的な社会は,原則的には,情報の自由な流通を前提に成り立っている.言論,報道の自由,公開 された市場,学術社会など,社会制度の上でも情報の自由な流通は保障されている.しかしならがら,伝 統的なコミュニケーション技術は,あるものは伝達範囲が限られており,あるものは資金がかかるなど, 自由な情報流通が誰にでも可能であるわけではない.情報の伝達に携わる部門の利害が関係する局面では, 情報の流通を阻害し,あるいは歪めようとの企てがなされても不思議ではない.新しいコミュニケーショ ン技術の持つ,自由な情報流通を促進するという特性は,さまざまな社会の不公正な運営を困難にし,開 かれた社会を実現する方向に作用するであろう[桂木 97,Bolz 93].

電子的コミュニケーション技術は,かつては,計算機資源の利用や研究者間の情報伝達など,学術社会に 対してのみ新しいコミュニケーション手段を提供してきた.今日では,国民の政治参加に新しい機会を 提供し,オンラインモールや電子マネーなどの新しい流通形態を生み出すなど,政治・経済の面でも新し い社会制度を生み出しつつある.電子的コミュニケーションという新しい技術が,研究室や,物好きな人々 の趣味の世界に閉じ込められていた時代は過ぎ去った.電子的コミュニケーションという新しい技術をい かに受け入れ,どのように利用していくかが,これからの社会に問われることになろう.

2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突


1.電子的コミュニケーションの広がり
3.電子的コミュニケーションの多面的性格
4.論文の目的
5.ネットワーク社会に関する既存の研究
6.研究のアプローチ
参考文献
今日では,電子的コミュニケーションの持つ利便性が広く認識され,企業や大学などのさまざまな組織の コミュニケーション手段としての活用が広がっている.インターネットに接続してさまざまな情報にアク セスすることは,一種のブームとなり,学術的,あるいは組織的な背景を持たない普通の人々の間にも電 子的コミュニケーションの利用が広がっている[浜野 97, 村井 94.しかし電子的コミュニケーショ ンは,それぞれの参加者の社会的な枠を超えた利用者の間に共通のコミュニケーションの場を提供する. このため,古くからの利用者と伝統的な社会に育った新しい利用者等,背景を異にする参加者の間にさま ざまな摩擦が生み出されることになる.

電子的コミュニケーション上には,信憑性に欠ける情報も数多く流通している.これは,意図的に他人を 欺こうとの意図に基づく場合もある一方で,情報発信の未熟さに起因する場合も多い.虚偽の情報が,善 意の人々の手で広範囲にわたって伝達されるケースもいくつかみられる.電子的コミュニケーション上で 公開されている情報のあるものは,確認を怠ったり,あるいは思い込みに基づいた信憑性の低い情報であ る.このような情報を友人間の私的な会話と同様の気安さで,世界中の見知らぬ他人に公開してしまう例 が多い.この背景にあるものは,単に表現技術の未熟さだけではなく,電子的コミュニケーションの成り 立ちに対する無知や,この上に形成されたコミュニケーションの場に対する認識の違いであると思われる.

BBS(電子掲示板)を長年利用してきた人々の中には,コンピュータを介したコミュニケーションは,現実の 社会関係を離れた,仮想的な社会関係であると考える傾向があり,このような人々がネットニュースを利 用しはじめると,これを現実社会のコミュニケーションに利用している人々との間に摩擦を生じる.同様 な摩擦は,組織内部に限定された電子的コミュニケーションに慣れ親しんだ人々が,外部の異質な人々も 参加するコミュニケーションの場に参加する場合にも生じている.コンピュータネットワークに対する認 識は各人各様であり,コミュニケーションの場に対する認識を異にする人々の間のコミュニケーションに は困難さが横たわっている.

電子的コミュニケーションの場に対する認識や,その場での振舞いとして妥当と考える基準等に関して, 一定数の人々が共通してもつ概念を,この論文では「文化」と呼ぶことにする.本論文では「文化」の定 義を,「およそ人間が社会の成員として獲得した能力や習性のあの複合的全体」なる Tylor の定義 [Tylor 71]に従うこととする.

文化の定義に関しては,世代間の継承を文化の要件とする Linton 等の考え方[Linton 36]もあり,こ れを文字通り,生物学的な世代間の継承と解釈すれば,電子的コミュニケーションの歴史が人間の世代間 隔に比べて短いことから,電子的コミュニケーションの場に文化が存在することはあり得ない.しかし, 継承は生物学的な世代間に限られるものではない.電子的コミュニケーションの場に新たに参加する人々 は先達から,既に確立された共通認識,共通の価値基準,合意された約束事を継承し,更に,後から参加 するものに自らが継承した事柄を伝えている.自発的なコミュニケーションの場には,何らかの相互理解 が不可欠であることを考え合わせれば,これら共有され,継承される事柄の総体を「文化」とみなすこと も妥当と思われる.

電子的コミュニケーションは,その技術に興味を持つ研究者,ホビイスト等によってはじめられ,一定の 社会規模に発展した.この段階では,技術の進展が共有された目的であり,情報の正確性が求められ,無 知は唾棄すべきものとされた.また,獲得された知識,成果を共有することが価値ある行為と考えられ, 技術情報,ソフトウエアの共有が進められた.

その後,商業的電子掲示版システム(当初は,パソコン通信と呼ばれた)が登場し,更には,インターネット ブームの到来に至り,企業活動にインターネットを取り入れたイントラネット作りが流行する一方,一般 の個人に対する電子的コミュニケーション環境の提供が営利業務としてなされるようになった.対価を支 払ってコミュニケーションの場に参加する人々は,参加者相互の情報提供により成り立つ場であっても, ともすれば,業者が提供するサービスと誤解する.

営利活動としてコミュニケーション環境が提供される際,しばしば完備した環境が提供され,特定業者の 提供する環境のみを用いて電子的コミュニケーションのすべての機能が利用でき,これを用いることで技 術的な困難さが回避できる場合が多い.このような環境を利用する参加者の一部は,特定の企業の提供す る環境が標準であると錯覚する.これらの結果,現在の電子的コミュニケーションの場には,原初的なイ ンターネット文化,パソコン通信文化,マイクロソフト文化,イントラネット文化等とも呼ぶべき,さま ざまな文化圏の利用者が混在しており,これらの人々が共通して参加するコミュニケーションの場におい ては,異種文化圏に属する人々との間で摩擦を生じている.

電子的コミュニケーションを作り出した人々の文化は,情報科学を中心とする学術社会の文化とハッカー の若者文化を土台としており,ある種のカウンターカルチャーの中で育まれた.コンピュータ利用者の一 部には「ハッカー倫理」への共感が根強く残っている.インターネットが学術社会に限定された,研究開 発のための道具であった時代には,社会的ルールを逸脱したハッキングであっても,ある程度許容される 社会的背景があった.しかし,インターネットが社会のインフラストラクチャーの一部となった現在では, インターネットにも一般社会の法が適用される.著作権はインターネットにおいても保護され,コンピュー タへ資源の不正なアクセスは犯罪となる.これらの社会規範を十分に把握しないままインターネットに参 加することは大きな危険を伴うようになった.

電子的コミュニケーション上の社会も伝統的な社会の一部であり,人類が長い時間をかけて形成してきた 社会規範の枠を出るものではない[Rose 95].しかしながら,電子的コミュニケーションは新しく登場 した技術であり,法律の対応は十分ではない.また,既存の組織や社会も,その内部に電子的コミュニケー ションを持ちながら,その特性が十分に理解された運営がなされているとは言い難い.この原因は,それ が新しい技術であるために体制の整備が追いついていないだけではなく,その前提である,新しく登場し た情報通信技術の社会的効果に対する理解が充分でなく,その利用法に関する社会的合意も充分になされ ていないためではないかと思われる.

3.電子的コミュニケーションの多面的性格


1.電子的コミュニケーションの広がり
2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突
4.論文の目的
5.ネットワーク社会に関する既存の研究
6.研究のアプローチ
参考文献
電子的コミュニケーションの利用において混乱と戸惑いを招くもう一つの理由は,電子的コミュニケー ションというメディアが,伝統的なメディアの持つさまざまな性質を兼ね備えていることであると考えら れる.

電子的コミュニケーションの機能は極めて広い範囲に広がり,全世界をカバーする情報共有を可能にする 一方で,極めて特殊な趣味を持つ限られた人々の間の情報交換を可能とする.電子的コミュニケーション を介した情報の発信は,個人的な日記や手紙のように,誰でも簡単に書くことができるにも関わらず,出 版物や放送のように,極めて広範囲の人々に伝達される.電子的コミュニケーション上の情報は,会話に 近い速度で送られると同時に,印刷された文書と同様の記録が残される.電子的コミュニケーションの場 では,即興のメッセージと,熟慮推敲を重ねたメッセージが混在して交わされ,これを受け取った人も, あるいは熟読し,あるいは軽く読み流す.そのメディアとしての位置づけは,それぞれの利用者の姿勢に 依存し,共通の認識のもとに扱われている保障はない.

インターネットには誰でも接続することができ,所定の接続規約を満足する限り,任意の機器,ソフトウ エアを使用することができる.インターネットの規約は,現在,RFCと呼ばれる非公式技術文書によって規 定される.RFCとはRequest For Commentの略であり,誰でもこれに異議を唱えることができ,だれでもこ の文書を自由に配布することが認められている.このようにみると,インターネットは極度に開かれた運 営形態を取る.

また,電子的コミュニケーションは,伝統的なコミュニケーション手段が付随的に伝えていた,社会的な 地位や肉体的特徴といった情報が欠落するという特徴を持つ.付随情報の欠落は,技術に支えられたコミュ ニケーション一般に生じるといわれている.デジタル技術に支えられた電子的コミュニケーションは,電 話や手紙がかろうじて残していた筆跡や肉声などの人間的要素を全て剥ぎ取ってしまう.このような側面 から,電子的コミュニケーションは匿名性の高いコミュニケーション手段といえる.

インターネットを経由したメッセージには,発信者を特定する情報が付加され,メイルなどではメッセー ジの経路情報も付加される.これらの発信者識別手段は,電子的コミュニケーションが研究機関に所属す る人々によって主に利用されていた時代には,匿名性を低下させる役割を果たしていた.しかしながら, 近年爆発的に増加したインターネットプロバイダからの参加者に対しては,それは単に利用しているプロ バイダを識別するのに役立つだけであって,参加者の属性を知る上での手がかりにはならない.更には, 不特定多数に匿名のアドレスを提供するサービスの利用や,識別情報の偽造も一部に行なわれており,発 信者の特定が非常に困難な例もみられる.

匿名性という言葉は,行為者の氏名が秘匿されているという文字通りの意味から,行為者の人格ないし個 人的特殊性が秘匿されているという意味まで,幅広い概念を含む.後者の意味での匿名的な人間関係は, 不特定多数の人々との関わりにおいて一般的であり,学術的議論など普遍性を要求される際には,匿名的 議論がむしろ要求される.電子的コミュニケーションのもつ,メッセージの内容のみを伝え,発信者に関 する付随的な情報をそぎ落すという特性は,匿名的コミュニケーションに好適な手段であるように思われ る.

一方で,インターネット上の社会は,無償のボランティアに支えられた集団主義的組織文化を持ち,「村」 とも形容されるような,コミュニティを形成している.開かれた社会が,通常,無機的・抽象的なコミュ ニケーションで成り立つのに対して,コミュニティはより情緒的・局所的コミュニケーションで成り立つ. 開放的な社会であると同時に情緒性の高いコミュニケーションも可能であるという,電子的コミュニケー ションの特性は,その上に従来にない新しい社会関係をつくり出すとともに,その社会自体に矛盾と脆弱 性を与えることとなろう.

このように,電子的コミュニケーションの特性は,伝統的なコミュニケーション手段とは大きく異なり, それが仲立ちをする人と人との関係もまた,伝統的な社会関係とは異なったものになると予想される.将 来のいつのときか,電子的コミュニケーションが社会の隅々にまで普及し,今日のさまざまな情報伝達手 段と同様に利用される時代が到来したとき,単に便利なコミュニケーション手段を手に入れたという以上 の変化が社会に生じる可能性が高い.それは,情報の流通を促進し,社会をより開かれたものにすると同 時に,さまざまな混乱の原因ともなりえる.このような危険を未然に把握して,新しい技術をより円滑か つ効果的に利用するためには,電子的コミュニケーション技術を社会関係という観点から検討を加える必 要があろう.

未来の社会を予測することは困難なことではある.しかし,未来を先取りした社会が既に存在すれば,これを観 察,分析することで,将来の社会に関する多くの知見を得ることができよう.電子掲示板やウエブなどの 電子的コミュニケーション手段は,それを仲立ちとして情報交換する人々の,ある種の社会を形成する. この社会を構成する人々は,電子的コミュニケーション手段のみで結び付いており,電子的コミュニケー ションの普及した将来の社会の先行指標となると考えられる.このような,電子的コミュニケーションを 介して成り立つ社会における人々の関係を分析することで,電子的コミュニケーション技術が普及した将 来の社会に関する知見を得ることができるであろう.

4.論文の目的


1.電子的コミュニケーションの広がり
2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突
3.電子的コミュニケーションの多面的性格
5.ネットワーク社会に関する既存の研究
6.研究のアプローチ
参考文献
この研究は以上の背景のもとに,電子的コミュニケーション上の社会で交わされている現 実のメッセージを分析し,その場を支配する文化的対立を把握し,電子的コミュニケーション技術が社会 関係に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする.

新しい技術のもたらす人間社会への影響は,技術それ自体が目的とする効果よりも,むしろ利用のされ方 とそれに伴う社会の変化が大きな意味を持つ.新しいコミュニケーション技術は,人と人との関係のあり 方を変え,社会を構成するさまざまな組織の形態にも影響を与えるといわれる [Sproull 92, McLuhan 64].

これまでにさまざまなコミュニケーション技術が人間社会にもたらされ, 社会関係に変化を与えてきた.文字と印刷術,レコードと映画,電信と電話,ラジオとテレビなどの技術 は,情報の蓄積・伝達を可能とし,効率化しただけでなく,その表現内容にも影響を与え,社会,文化を 変化させた.新しい交通手段の登場と発達は,単に人や貨物の移動を早く便利にしただけでなく,新しい 産業形態を生み出し,都市と農村の分化をすすめたといわれる.電子的コミュニケーションという新しい 技術も,情報伝達を効率化するという直接の効果だけでなく,社会関係を変え,人類の文化を変え,社会 組織に変化をもたらすものと考えられている.電子的コミュニケーションの普及の速さは,その変化が急 激であることを示唆し,その機能面での特異性は変化の幅も大きいことを暗示している.

電子的コミュニケーション上の社会は,新しいコミュニケーション技術に依存した人間関係によって成り 立っている.この研究では,この社会を,電子的コミュニケーションの普及に伴う社会一般の変化,人間 関係と文化の変化を予測し,あるべき方向を模索するための先行的なサンプルととらえ,電子的コミュニ ケーションの枠を越えた,一般的社会関係との関連において考察を加えたい.

5.ネットワーク社会に関する既存の研究


1.電子的コミュニケーションの広がり
2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突
3.電子的コミュニケーションの多面的性格
4.論文の目的
6.研究のアプローチ
参考文献
電子的コミュニケーション上の社会に関しては,様々な方面からのアプローチが行なわれている.

電子的コミュニケーションが伝達する情報量は技術上の重要な因子であり,トラフィック分析として工学 的な解析が行なわれている.Paxson等は,インターネットを経由して伝えられる情報量の推移がフラクタ ル性を持つことを指摘している[Paxson 95].瀬尾は,メッセージの木構造と関連付けたトラフィック 分析行なっている[瀬尾 96].これらの研究は,伝達される情報量を扱っているが,内容に踏み込んで はいない.

電子的コミュニケーション上の社会をシステムとしてとらえる研究も,工学の領域で行なわれている.そ の一つは,これを有効に活用するための道具(グループウエア)の研究である.また,電子的コミュニケー ション上に形成される人々のつながりに注目した研究もいくつか行なわれている.金子らは阪神淡路大震 災の際に形成されたボランティア活動のためのメッセージ交換の解析を行なっている [金子 96, 松井 95].川上らは,BBSのメッセージを解析して,コミュニケーションの場におけるそ れぞれの参加者の役割を分析している[川上 93].これらの研究は,電子的コミュニケーションの 効率的利用を主眼としており,そこに形成される社会の特性についても扱われている.しかし,分析の重 点は,情報の流通という機能面におかれ,その文化的背景や,しばしば発生している深刻な対立について は解析されていない.

電子的コミュニケーション上の犯罪も一つの研究領域である.これには,セキュリティ確保のための工学 的研究と法的規制の双方から研究されている.電子的コミュニケーションを管理する立場からは,種々の トラブルの対処方法が検討されている.情報倫理は社会科学系の学問分野であるが,工学系の学会でも扱 われている.これらはいずれも問題に対する対処の方法を議論するものであり,問題発生する社会的背景 を検討するものではない.

電子的コミュニケーションの参加者の心理の研究は社会心理学の領域で行なわれている.ウエブを作る動 機を「自分探し」,すなわちアイデンティティ確立にあると指摘する研究もある[山下 97].野 田正彰はコンピュータ利用者を精神医学的に研究し,情報化の研究は,単に工学面からこれを行なうだけ でなく,社会的,あるいは人間の側からのアプローチが必要であると指摘している[野田 87].

社会学の側からの電子的コミュニケーションへの言及もいくつかなされている.Maffesoli は現代社会に 広がる部族的小集団の一例としてフランスの電子的コミュニケーションである「ミニテル」に熱中する人々 を紹介している[Maffesoli 88].Sproull 等は電子メイル等がもたらす組織内の人間関係の変化につ いて記述している[Sproull 92].Virilio はインタビューの中で「リアルタイムの横暴」という表現 で,インターネットはその速度のゆえに民主主義を阻害するものとしている[Virilio 96] .Johnston 等はインターネット文化の特性を考察し,商業的利用の浸透と共に,文化の衝突が発生していることを指 摘している[Johnston 99].電子的コミュニケーションに関するこれらの社会学的アプローチは,内容 の定量的な分析が欠けており,主観的論評に止まっている.

6.研究のアプローチ


1.電子的コミュニケーションの広がり
2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突
3.電子的コミュニケーションの多面的性格
4.論文の目的
5.ネットワーク社会に関する既存の研究
参考文献
6.1 研究の対象とするフィールド

分析の対象には,ネットニュースを取り上げた.その理由は,第一に,ネットニュースは誰にでも開かれ ており,インターネット上で原情報にアクセス可能であること,第二にネットニュースは,ウエブと異な り,ニュースグループと期間を定めることで解析領域が明確に定義されることによる.

ネットニュースは,ニュースグループと呼ばれる,特定範囲の話題を扱う場に記事を投稿することによっ て議論が展開される.ニュースグループには,学術的な議論を目的とするもの,趣味の範疇に属する話題 に関する議論を目的とするものなど各種存在する.この中で,この研究では,電子的コミュニケーション そのものに関して議論が行われる場として,ネットニュースの使い方に関する議論を行う場として開設さ れているニュースグループを取り上げ,議論の内容を解析する.これは,このようなニュースグループに おいては,電子的コミュニケーションに対する参加者の意識が最も鮮明に表れるものと期待されることに よる.

6.2 社会関係を把握する手掛かりとしての対立

ネットニュースで交わされる議論は,以下が典型的である.
  1. 質問とそれに対する回答.回答の誤り,不十分さの指摘や補足的情報提供が続く場合もある
  2. 自発的な情報提供.技術情報,ニュースの紹介から,プログラムやジョークなどの作品の提供まで 多岐にわたる.提供された情報に対して,追加情報の提供,感想などが続く場合もある.
  3. 他の投稿者に対する批判記事とそれに対する反論.
前二者は,各々のニュースグループ特有のテーマに関して議論が行われる.例えば,特定のソフトウエア を扱うニュースグループにおいては,そのソフトウエアの使い方に関する質問がしばしば投稿され,これ に対する回答が投稿されるといった具合である.

他の投稿者に対する批判記事は,多くのニュースグループでしばしば表れる.これは,記事の表現がわか りにくい,不正確であるといったコミュニケーション技術に関する批判から,乱暴な言葉使いや無責任な 態度に対する批判といったマナーに関する批判,ニュースグループの選択の誤り,営利目的での使用といっ たニュースグループ利用のルール違反に関する批判など,多方面にわたる.

個々のニュースグループで,このような批判記事に始まる議論が長引いた場合,その話題は,ネットニュー スの使い方に関する議論とみなされ,この種の議論を専門に扱うニュースグループに議論の場が移される. このような背景から,ネットニュースの管理・運営に関わる議論においては,参加者の間の対立が頻繁に 観測されることとなる.

ニュースグループの使い方に関する議論が大きく発展した場合,参加者間に深刻な対立が存在する場合が 多い.典型的な対立として,次の二つをあげることができる.

  1. 感情的対立:自分が傷つけられたと思い込み感情的メッセージを送る者同士,あるいはこれを批判, 揶揄したり,説得を試みる者との間の対立.
  2. 文化的対立:計算機環境や参加形態,あるいは電子的コミュニケーションに関わる経験の 違い等により,自明の常識とみなす事柄やネットニュースに対する認識が異なる参加者間の対立.
個々の議論における対立点とその深刻さは記事の内容を分析により把握することができる.特に後者のタ イプの対立は,参加者の意識が鮮明に表れるものと期待され,これを分析することは,コミュニケーショ ンの場の特性を把握する上で有用と考えられる.

6.3 メッセージの分析

ネットニュース上で大きな議論を呼んでいる話題を客観的に抽出するため,一定期間の特定ニュースグルー プの全ての記事を収集し,参照関係で結ばれたメッセージを特定の話題に関する一連の議論(本論文ではこ れをスレッドと呼ぶ)を構成する記事として分類整理した.特に多数のメッセージから構成される大きなス レッドは,より多くの参加者の関心を集めたより重要な話題を扱っていると考え,代表的な大きなスレッ ドについて分析を行った.より客観的な解析を行うため,記事内容の読解によって論点を抽出するだけで なく,キーワード出現頻度の振動に着目して対立を抽出する機械的手法を新たに開発し,大きなスレッド に関しては,議論における対立の程度と対立点を定量的に分析することを試みた.

本研究では,1995年1月1日より1998年12月31日までの4年間にわたって fj.news.usage に投稿され た全ての記事50,623件を処理対象とした.ネットニュースの記事はヘッダと呼ばれる行が付加されており, これを用いて,全ての記事を計算機プログラムで処理することにより,話題の推移を表す木構造(スレッド と呼ぶ)にまとめ,反響の大きい議論を抽出した.また,個々の記事の特性指標をキーワード出現頻度の主 成分スコアとして定量化し,議論の過程における主成分スコアの振動により,その議論における対立の有 無と対立点を抽出することを試みた.一般のコミュニケーションにおいて,特に大きなサンプル数につい て,このような処理を行なおうとすると膨大な人手を要する.電子的コミュニケーションの解析は,機械 的な処理が容易であるという特徴があり,コミュニケーションを分析するためのフィールドとしても好適 と思われる.

6.4 場の社会的特性

電子的コミュニケーション上の社会といえども,普通の人々のつながりであり,古くからある社会と類似 した挙動を示すと考えられる.そこで,これまでの社会に対して行なわれた様々な視点から,電子的コミュ ニケーション上に形成される社会を再評価し,その特性を明らかにすることを試みる.

これまでに行なわれた多くの研究は,電子的コミュニケーションとその上に形成される社会を,情報伝達 のシステムとしてとらえ,システムの挙動を明らかにすることに主眼をおいている.しかしながら,電子 的コミュニケーション上で発生している問題は,システムの問題というよりは,個人の意識,あるいはそ の現れとしての,コミュニケーションの内容そのものにあると思われる.すなわち電子的コミュニケーショ ンという情報伝達手段は何ら問題なく機能し,参加者相互の情報の流れも活発に行なわれていながら,伝達 されたメッセージの内容の部分でコミュニケーションの混乱を生じている場合が多い.そのような内容の メッセージが発信される原因は,参加者の意識とこれを左右する環境によるため,電子的コミュニケーショ ンにみられる混乱発生のメカニズムを解明するためには,社会関係の分析が欠かせない.

個人の意識の側からのアプローチ,あるいは社会の側からのアプローチは,これまでも多く行なわれてい る.本研究では,これら双方からのアプローチを一歩進めて,それらが重なる領域を解析することを目的 とする.そのような意味から本論文の題名を「社会関係の研究」とした.

6.5 論文の構成

この論文では,電子的コミュニケーションにおける種々の対立要素について概観した後,ネットニュース で実際に交わされた議論から対立因子を抽出することを試みる.

ネットニュース上の議論の分析に関しては,手法について解説した後,大きな議論を呼んだ個々の話題に ついて,議論を追うことにより論点を明らかにするとともに,主成分分析という統計手法を用いて, 対立の客観的な評価を試みる.それぞれの議論における対立要因と,ネットニュースの社会的背景との関 連付けを行う.

ネットニュースの場では,見知らぬ他者の質問に応えた無償の情報提供が頻繁になされる一方で,相互理 解を欠いた議論の応酬も繰り返されている.電子的コミュニケーションは,他者からの付随情報がフィー ドバックされないため激烈な表現が選ばる傾向があり,悪口雑言の飛び交う口喧嘩に発展しやすい [Sproull 92].相互の理解を欠いた激しい議論の応酬は,コミュニケーションの場の効率を低下させ るだけでなく,参加者を傷つけ,排除する原因となる.

特定のテーマで大きな議論が湧き起こる場合,参加者の間に何らかの対立が存在する.対立は,学術論争 などの普遍的正当性を巡ってなされる場合もある.しかしネットニュース上にみられる多くの対立は,社 会的背景の異なる人々の間で生じている.人間集団のコミュニケーションは,他者との共同的活動である と考えられている[Meed34].メッセージが意図された通りの効果を他者に与えるためには,言葉の意 味,価値観,常識(本論文ではこれらを「文化」と総称する)の相互理解が必要である.相互理解を欠いた 議論は,相互に有効な情報の伝達がなされないと考えられる.

この論文では,相互理解の欠如によるコミュニケーションの失敗の社会的,文化的背景を考察するととも に,ネットニュースのニュースグループ "fj.news.usage" の議論から対立を定量的に抽出し,電子的コ ミュニケーションの社会的,文化的特性を明らかにすることを試みた.そして,この結果に基づき,社会 と個人の関係という観点で,伝統的な社会に対して行なわれたさまざまな分析を,電子的コミュニケーショ ン上の社会との関連において再考し,今日の我々を取り巻く社会関係の中に電子的コミュニケーションを 位置付けると共に,今後の社会の発展の中で電子的コミュニケーション目指す方向について考察を加えた い.

 参考文献


1.電子的コミュニケーションの広がり
2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突
3.電子的コミュニケーションの多面的性格
4.論文の目的
5.ネットワーク社会に関する既存の研究
6.研究のアプローチ
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2.電子的コミュニケーション上の文化の衝突
3.電子的コミュニケーションの多面的性格
4.論文の目的
5.ネットワーク社会に関する既存の研究
6.研究のアプローチ
参考文献
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