匿名投稿の実態
この分析は、ネットニュース "fj.news.usage" に 1995 年 1 月 1 日より 1998 年 12 月 31 日までに投稿された全ての記事、約5万件を、Reference ヘッダの情報を用いてツリーグラフに整理して行なっている.カギ括弧( "[" と "]" )で囲まれた数字は記事の識別番号であり、ツリーの何番目の枝に相当するかを表している.ネットニュースは分散形の電子掲示板であり、メイルと同様のメカニズムを用いて各組織に配布された記事を、「ニューススプール」に置き、多数の所属員が読み書きするくシステムである.
本論でいう "BBS" (電子掲示板システム)は、いわゆるパソコン通信上の電子掲示板システムであり、典型的には、ニフティサーブ、アスキーネット、PC-VAN 等の大手パソコン通信サービス会社によって運営されていたものである。リ ン ク
OCN に置いたホームページ
Infoseek に置いたホームページ
楽天に置いたホームページ&日記
掲示板 : 議論のための場所 (閑散 ^-^;)
メイル : 私への密やかな連絡用。ご意見、ご注文もどうぞ
匿名投稿,あるいは偽造したアドレスからの投稿も fj.news.usage でしばしば議論されている.但し,こ れらの行為を肯定する主張は,匿名投稿者以外からは全くなされず,この話題だけでは大きな議論には発 展していない.スレッド11は,"REPLAY.COM" なる匿名サイト経由で投稿された脅迫的悪口を内容とする記事に始 まり,匿名投稿に関する多少の議論の後,フォント表示と計算機環境の関係を扱う技術的な議論に移行し た.ユーザID "nobody@REPLAY.COM" は複数の者に共有されているが,共通する特徴はコミュニケー ション能力の欠如であり,議論の発展に関与する例は皆無に近い.また,その記事も意味不明のものが多 く,他の読者に有益な情報はほとんど含まれていない.
匿名投稿には,アドレスの偽造,匿名サイトの利用,ハンドル(ネット上のニックネーム)の使用などの 形態があり,ハンドルの使用以外の匿名投稿はfjの規約違反と考えられている.伝統的なインターネット 文化は,所属組織と実名の表示を推奨する一方,商用BBSではハンドル表示が多くみられる.ネットニュー ス上ではハンドルは実名に近い扱いを受け,それ以上の匿名性は,商業主義的インターネット文化に属す る参加者にも受け入れられてはいない.
1. 匿名投稿とその種類
fjが学術ネットワーク上のネットニュースであった時代には,本名と所属を明示して投稿することが一般 的であった.しかし,BBSやインターネットプロバイダからの参加が増加すると,一種のニックネームであるハ ンドルを用いた投稿や,正体を伏した匿名投稿がさまざまな形で行なわれるようになった.これらの投稿 のあるものは,内容にも問題があり,fjでしばしば議論の的となっている.
匿名の投稿は次の三つに大別される.
以下,これら三種類の匿名投稿について,実際に行なわれた議論を例に,内容を分析したい.
- ハンドルを用いた投稿.
- From行を偽造した投稿.
- 匿名サイトからの投稿.
2. ハンドルを用いた匿名投稿
2.1 スレッドの内容以下に,記事 [110] に始まる大きさ70のスレッドの,全ての記事につき,スレッドツリー の解析結果,及び内容の一部を示す.
Paradise Ambassador [112] +10,70 usage/19961220-131 j50596@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (HOLY)このスレッドの発端となった記事 [112]は,投稿に際してハンドルを用いることには何ら 問題はないと主張するもので,この主張自体,なんら反対意見は出ていない.元記事に続く小さなツリー では,元記事の投稿者がハンドルを用いて投稿した,過去の記事内容に対するクレームが述べられている.極楽大使というハンドルを用いて投稿することは,何ら問題ないと思います. [112.1] usage/19961221-88 "Hiroshi. Matsuoka" <32BC00EE.5BD4@cg.NetLaputa.or.jp> [112.2] usage/19961224-66 "Kawamoto" <01bbf15d$43627880$LocalHost@Kawamoto.zzz.or.jp> [112.3] +1,2 usage/19961227-64 "Ataro Mohretsu" <01bbf402$6bcc8ca0$6c36d4ca@honinbow.cosmo.jah.or.jp> 私(Ataro Mohretsu)は,12月25日付で,HOLY氏より電子メールで直接の謝罪を受けました. [112.3.1] usage/19961228-46 void@merope.opus.or.jp (Kusakabe Youichi) <1996Dec28.015127.11783@merope.opus.or.jp> [112.4] +2,3 usage/19961227-35 "Ataro Mohretsu" <01bbf3a5$3bb52020$LocalHost@lady-aquarius> ([112.3] と同一内容) [112.4.1] usage/19961227-47 hironobu@h2np.suginami.tokyo.jp (Hironobu Suzuki) 日本国内の訴訟ですが,パソコン通信まで範囲広げると,いくつか訴訟が行なわれています. [112.4.2] usage/19961230-60 smatsuda@molbio.med.osaka-u.ac.jp (shuji matsuda) fjでの基準はもう少し緩くて,RFC1036的にあっていれば許容されていますから,メールアドレスがちゃ んと書いてあれば良いですね. [112.5] +1,4 usage/19961222-43 Masanori Hata <32BCB2FC.7B71@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp> 東大法学部に在籍しているような人間は,いろんな意味で(世間に対して)背負っているもの,与える影 響が大きい. [112.5.1] +1,3 usage/19961223-55 miyano@yokohama.tao.or.jp (Miyano Hiroshi) そんなことは,fjの一般読者の知ったことではありません.当該サイトの内部で解決してくださることを 望みます. [112.5.1.1] +1,2 usage/19961223-48 Masanori Hata <32BE3ABB.E1@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp> 文面を見れば,fjの一般読者に向けた言葉じゃなくて,彼に向けたメッセージだということがわかるはず だと思うのですが. [112.5.1.1.1] usage/19961224-27 miyano@yokohama.tao.or.jp (Miyano Hiroshi) そのような私的な,あるいはローカルな,そしてfjの一般読者に興味のない話題はfjに投稿すべきではな いということです. <サブツリー:ハンドルとユーザIDは別である> [112.6] +1,4 usage/19961220-109 void@merope.opus.or.jp (Kusakabe Youichi) <1996Dec20.205331.19403@merope.opus.or.jp> 「void」ってこの場合わたしのこと? わたしは「ハンドル」なんて使っていませんが... [112.6.1] +1,3 usage/19961224-55 matznaga@pu-toyama.ac.jp [112.6.1.1] +1,2 usage/19961224-59 miki@soum.co.jp (Susumu Miki) [112.6.1.1.1] usage/19961226-88 void@merope.opus.or.jp (Kusakabe Youichi) <1996Dec26.104820.24334@merope.opus.or.jp> <サブツリー:ルール (Message-ID) を無視する記事は非難されて当然> [112.7] +1,5 usage/19961225-68 "Ataro Mohretsu" <01bbf270$f3c12140$a636d4ca@lady-aquarius> もちろん,UsenetBoy氏と僕とは別人です.... 今までの両者の投稿の中身をちょっと調べれば,すぐに わかることです. [112.7.1] +1,4 usage/19961225-78 "yoshinori iwata" <01bbf2a6$d84c69c0$5036e5ca@muggy.nsknet.or.jp> fjのルールは「メールが届くアカウントから投稿すること」... そのルールを無視する人は無責任だとい うのは当然ですよね. [112.7.1.1] +2,3 usage/19961226-46 "Ataro Mohretsu" <01bbf2fd$2000ed80$LocalHost@lady-aquarius> honinbow@po.jah.or.jp このアドレスでメールは必ず届きます.Lady Aquariusに対する非難をしてい るひとがいたようですが,それは少しおかしな非難です. [112.7.1.1.1] usage/19961226-54 kate@pfu.co.jp (KATAYAMA Yoshio) 基本的なルールすら守っていないのですから,非難されて当然です. [112.7.1.1.2] usage/19961226-72 gami@infor.utsunomiya-u.ac.jp (Yoshitsugu KAMIMURA) だからきっとドメイン名 (po.jah.or.jp?) も指定しなきゃだめだって. <サブツリー:ユーザIDが同じならハンドルを変えても同一人物とみなされるのは当然> [112.8] +1,6 usage/19961220-114 yamane@in.it.okayama-u.ac.jp (Daisuke Yamane) <59embm$r8m@itserv.it.okayama-u.ac.jp> 軽薄な印象を相手に与えるようなものであれば ... 本名を伴わない文章ってのは,ちょいと不利なこと もあるかな,とは思います. [112.8.1] +4,5 usage/19961221-36 j50596@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (HOLY) 無責任だったと悪名高い「鷹野善行」と私とを結び付けるかのような言い方をされる方がいらっしゃいま す. [112.8.1.1] usage/19961221-48 saiou@mx.tcp-ip.or.jp (KUROSE Yoshitoshi) 上記の文章は「鷹野」時代とでも言い直せば誰も何も言わないでしょうね. [112.8.1.2] usage/19961221-61 syd@tt.rim.or.jp (YOSHIDA Satoshi) 軽蔑されるのって「ハンドル投稿」のせいだと思います? [112.8.1.3] usage/19961224-31 ippei@jsk.t.u-tokyo.AC.JP (Ippei Miyata) あらま.まさか,『違う』とでも言いたいの?言えるの? [112.8.1.4] usage/19961224-70 smatsuda@molbio.med.osaka-u.ac.jp (shuji matsuda) 結び付けてるもなにも,*同じアドレス*で投稿しているのは誰? <サブツリー:From行に書かれているのは本名か> [112.9] +3,10 dummy dummy <59e5pn$s6l@sally.isc.chubu.ac.jp> みなさん「From:」に書かれているメールアドレスの横には本名が書かれていますよね? [112.9.1] +1,2 usage/19961221-91 uetake@ss.iij4u.or.jp (UETAKE Kazunori) どうして,わかるのでしょうか? [112.9.1.1] usage/19961224-39 d95070@isc.chubu.ac.jp (kurisu_yoshiki) <59nm4b$j8i@sally.isc.chubu.ac.jp> 本名かどうかは「証明できるものはない」と言われればそれまでなのですが. [112.9.2] +1,3 usage/19961221-60 "無記名 (日本人は人を馬鹿にするが, 日本人自身が馬鹿である)" <32BC21BE.586D@Anonymous.com> Holy = 堀(さん)と名乗っていて実際にはUsenet Boyさんであったりして? [112.9.2.1] +1,2 usage/19961222-32 minz@super.win.or.jp (^^ Hiroshi Migimatsu) <59iqbd$ml3@super.win.or.jp> GCOS に多少スペルのおかしな :-) 実名が入っているくらいなんで,fj的にはあまり問題は感じないので すが. [112.9.2.1.1] usage/19961224-40 d95070@isc.chubu.ac.jp (kurisu_yoshiki) <59nmf9$j8i@sally.isc.chubu.ac.jp> 証明はできませんが,「本名」と思われる名前とシグネーチャがありますんで,一応その部分で信用して おります. [112.9.3] +3,4 usage/19961221-35 j50596@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (HOLY) 「HOLY」と「堀」とは 発音も近似しており,同一人物を表示する名称であることが社会通念上明らかと 言えるので, [112.9.3.1] usage/19961221-50 kimura@ozawa.elec.keio.ac.jp (Makoto KIMURA) <59g61n$s3r@elecgwy.elec.keio.ac.jp> 自分の思い込みだけで「明らか」とか書くのはやめましょうね. [112.9.3.2] usage/19961222-30 Hideo Ogawa <32BCA8EA.33C@nn.iij4u.or.jp> 社会通念上明らかなんですか?ローマ字表記ならほりい=HORIIですよね. [112.9.3.3] usage/19961224-38 d95070@isc.chubu.ac.jp (kurisu_yoshiki) <59nls8$j8i@sally.isc.chubu.ac.jp> 発音が近似しているから「適性さに欠けるところはない」とは言えないように思います. <サブツリー:ハンドルを使うこと自体は構わない> [112.10] +5,33 usage/19961220-117 "Ataro Mohretsu" <01bbee94$3d5d0f20$LocalHost@lady-aquarius> ハンドルを用いるということ自体は責められるべきことではないと考えます. [112.10.1] usage/19961224-65 smatsuda@molbio.med.osaka-u.ac.jp (shuji matsuda) こんなクロスポストを続けていると,ハンドルがどうこうという意見は誰も真面目に聞かないと思います よ. [112.10.2] +1,2 usage/19961220-106 "Ataro Mohretsu" <01bbeea3$6aa1f720$8136d4ca@lady-aquarius> 自己の責任において,自らのセキュリティに配慮をすべきです. [112.10.2.1] usage/19961221-33 mackytcf@mbox.nc.kyushu-u.ac.jp (Yoshikazu Makioka) [112.10.3] +1,3 usage/19961221-26 ishii@mail.at-m.or.jp (Kazuhiro ISHII) <59fngf$2uf@riona.at-m.or.jp> ハンドルだけ使って本名が書いてないような記事は怪文書みたいなもんだ,ってだけでしょう.... 無責 任に見えますよ. [112.10.3.1] +1,2 usage/19961222-100 "無記名(Usenet Boy) <32BDA26D.2727@earthquake.com> 意見が違っていたときにメール攻めなどの暴力を振るうために投稿者に本名と実アドレスの記載をお願い しているのですか? [112.10.3.1.1] usage/19961223-42 Kuboi Takashi <32BE1249.F60@incus.env.kyoto-u.ac.jp> あなたのしていることは匿名,仮名の投稿ではなく,名義,所属団体の詐称にあたります. [112.10.4] +1,7 usage/19961224-51 rip@ee.kogakuin.ac.jp (Akihiko "RIP" SHINYA) <59nqt9$dp9@hp00.snews.kogakuin.ac.jp> ネット上でハンドルを使うことは構わないと思いますが,内容に該当しないNewsGroupに記事を投稿する のは,やめて下さい. [112.10.4.1] +1,6 usage/19961225-34 gami@infor.utsunomiya-u.ac.jp (Yoshitsugu KAMIMURA) あと,References で引けないような Message-ID も問題ね.# lady-aquarius って po.jah.or.jp の 中にある独立国? [112.10.4.1.1] +3,5 usage/19961226-45 "Ataro Mohretsu" <01bbf2fc$f1290ba0$LocalHost@lady-aquarius> これは僕の趣味. [112.10.4.1.1.1] usage/19961226-56 "RENCA SAKURAI" <01bbf307$147122a0$LocalHost@rencamtly.infoweb.or.jp> [112.10.4.1.1.2] usage/19961227-43 jiro@ace.nerimadors.or.jp (TANAKA Jiro) [112.10.4.1.1.3] +1,2 usage/19961226-71 gami@infor.utsunomiya-u.ac.jp (Yoshitsugu KAMIMURA) 一度,この記事からご自分の元記事を「参照」できるか,やってみていただけませんか? [112.10.4.1.1.3.1] usage/19961227-75 asada@three-a.co.jp (Takuya ASADA) <59va7m$ign@daikoku.three-a.co.jp> これでは,ネットニュースの規格にそってないのですね.... 最悪記事が失われたりする可能性があると いうコトです. <更に下のサブツリー:匿名投稿者の正体> [112.10.5] +4,19 usage/19961221-38 j50596@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (HOLY) この記事の投稿者は,Usenet-Boy=Anonymousこと野田昌孝さんである嫌疑が非常に濃厚 [112.10.5.1] usage/19961225-45 smatsuda@molbio.med.osaka-u.ac.jp (shuji matsuda) ちがう.この元記事は,東京都内のプロバイダから発信されています. [112.10.5.2] +1,2 usage/19961221-78 "Ataro Mohretsu" <01bbef5e$cd1e4d20$b436d4ca@lady-aquarius> これはかなり破壊力のあるジョークだなぁ.UsenetBoyに僕と同じ程度の日本語が書けていたかどうか考 えてくださいよ. [112.10.5.2.1] usage/19961221-101 "無記名 (日本人は人を馬鹿にするが,日本人自身が馬鹿である)" <32BCA923.7625@Anonymous.com> Usenet Boyさんへ対してのいいわけですか? [112.10.5.3] +1,6 usage/19961221-39 jj67016@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (jj67016) あなたの学生証番号をたどって容易に実名が特定できることは御存知ですよね. [112.10.5.3.1] +4,5 dummy dummy <32BC1FC8.601@Anonymous.com> Usenet Boyさんは無責任に発言しました? まあ地震予告がいい加減で世の中を狂わせたなどと言えば別 でしょうけど. [112.10.5.3.1.1] usage/19961222-35 jj67016@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (jj67016) 僕は,何も君の行動を云々しているわけではなく,他ならぬきっしーにむかって「ずっと言ってきた」の ですよ. [112.10.5.3.1.2] usage/19961222-40 falcon@harenet.or.jp (Yamamoto) <59ig9n$bfm@po.harenet.or.jp> [112.10.5.3.1.3] usage/19961222-45 jj67016@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (jj67016) 別に君のことは言ってない.日本語わかる? わかりませんね. [112.10.5.3.1.4] usage/19961222-71 shaker@yk.rim.or.jp (Fujimoto Makoto) あれも十分無責任でいい加減は予告でしたね.日付と震度はまぁいいとしても,肝心の場所が彼の予告で は「日本全土」... [112.10.5.4] +1,9 dummy dummy fjでの問題はさておき,東京大学教育用計算機センター(本郷ECC)のユーザーとして問題があるよ. [112.10.5.4.1] +2,8 usage/19961223-52 "Ataro Mohretsu" <01bbf096$223b68a0$8936d4ca@lady-aquarius> どうしても匿名を守りたいのなら,個人としてどこかのプロバイダと契約して情報発信すべき [112.10.5.4.1.1] usage/19961223-57 ishii@mail.at-m.or.jp (Kazuhiro ISHII) <59li8q$p4u@riona.at-m.or.jp> デタラメ理論をもとにして,人にアレコレ指図をするっていうのは不愉快です.あつかましい [112.10.5.4.1.2] +3,6 usage/19961224-78 j50596@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (HOLY) 日本のように何事も企業中心に動いている社会では,企業に就職できるか否かは,critical な問題なん ですよ. [112.10.5.4.1.2.1] usage/19961224-67 suzuki@d-kiki.ees.saitama-u.ac.jp (Junya Suzuki) そんなに critical な問題だったら ・学籍番号付のアドレスから投稿 ... は止めましょうね. [112.10.5.4.1.2.2] usage/19961224-77 "Ataro Mohretsu" <01bbf1b1$5dba0c80$ba36d4ca@lady-aquarius> 僕(Ataro Mohretsu)=Usenet Boyと決め付けていますが ... 別人であるのは簡単におわかりになると 思います. [112.10.5.4.1.2.3] +1,3 usage/19961225-51 "Ataro Mohretsu" <01bbf214$978ba640$9436d4ca@lady-aquarius> あなた個人の思い込みを,簡単に記事にしてしまうあなたの態度に,僕は少々あきれています. [112.10.5.4.1.2.3.1] +1,2 usage/19961227-66 smatsuda@molbio.med.osaka-u.ac.jp (shuji matsuda) 『なに一人芝居してるの?Ataro Mohretsu=Usenet Boy=HOLY=きっしーじゃないの?』といわれても言い 返すことができませんよね. [112.10.5.4.1.2.3.1.1] usage/19961228-50 "Ataro Mohretsu" <01bbf48d$4e4f3340$3536d4ca@honinbow.cosmo.jah.or.jp> 条件がそろえば,結構簡単です...刑事事件にしてみればいいんです. [112.8]に始まる要素数6の小さなサブツリーは,同一のユーザIDで投稿したハンド ルの異なる記事を,他人が投稿した記事であるかのように発言したものを受け,同じユーザIDから 投稿しているなら,同一人物と考えられて当たり前の旨の指摘を受けている.
記事[112.9]に始まる要素数10のスレッドでは,From行に書かれた名前が話題とされ,こ れ自体も本名である確証は全くないものの,一応信用しておいても問題はなかろう,との考えが大勢を占めて いる.
[112.10]以下の記事数33のスレッドでは,ハンドルを用いた投稿の問題点について議論が なされ,ハンドルを使うこと自体は問題ないものの本名がないと信用されにくい,投稿するニュースグルー プやメッセージIDが不適当であり,ハンドルを用いること自体よりも,そういったルール違反が信頼性を 損ねているとの指摘がなされている.また,メイル攻撃などから身を守るためであるとする,ハンドル投 稿の理由についても解説されている.
[112.10.5]に始まる要素数19のサブツリーでは,匿名投稿者の正体に関して議論が発展す る.まず,他の匿名投稿者の正体を明かした投稿に対し,Path情報より,この推定が正しくないことが指 摘されている.一方,ハンドルを持ちいる投稿者は,就職などでの不利益を避けるために正体を隠す必要 があると述べているにもかかわらず,学籍番号付のアドレスから投稿していたのでは,正体を隠すことは できないとの指摘もなされる.なお,匿名投稿は,投稿者の所属する組織の内部ルールに反するとの注意 も行なわれている.
2.2 考察
実名に代えてニックネームを用いることは,fjが学術ネットワーク(Junet)上のニュースグループであっ た時代から一部に行なわれていた.しかし,この時代では,大学,研究機関などの所属が明示されており, かつ,本名もFrom行に注記されていることが一般的であり,ニックネーム(ハンドル)は,記事の投稿者 に親しみを持たせる効果が主体であり,投稿者の実社会における正体を隠すという役割は全くといいほど 担っていなかった.
JunetとBBSとの相互接続が始まると,BBSの参加者からの投稿が増加した.BBSでは,ハンドルを用いた 投稿が一般的であり,BBS経由でfjに投稿される記事もハンドルによって投稿者を表示することが一般的 となった.BBSやインターネットプロバイダからの投稿は,ユーザIDその他の組織を表示する部分 にも,BBSあるいはインターネットプロバイダの名称が表示されるだけであり,これらにはどのような人 であっても参加可能であるために,投稿者本人の属性を把握する情報としてはほとんど役に立たない.投 稿者を知る手がかりが,記事の内容だけしかない.
fjの多くの投稿者は,その所属と本名を明らかにして投稿している.これは,fjが研究機関を接続した Junet のニュースグループとして発展したことから,学術社会のコミュニケーションの通例として,発信 者の所属と氏名を明記することが伝統となったためと思われる.この風習は,fjが BBS やインターネッ トプロバイダ等に解放された後も廃れていない.多くの BBS では,所属や本名を明かさず,「ハンドル」 と呼ばれる通り名を用いてコミュニケーションが行なわれているのとは対象的である.fjとBBSの相互接 続後,BBSと同様なハンドルを用いた投稿の可否に関して議論が起こったが,現在では,氏名や所属の明 示は不必要であるという考えに落ち着いている.
BBS やインターネットプロバイダは,誰でも参加することができ,参加者の属性は公開されていない.こ のような組織から投稿された記事の投稿者に関して,他の参加者が認識できるのは,記事の内容以外には, 接続しているサービス組織とそこにおけるアカウントであり,それ以上は分からない.しかし,投稿者に メイルを送ることが可能であり,また,接続組織は投稿者個人を把握しているため,法律上の問題があれ ば対処が可能である.更に,BBS やインターネットプロバイダ経由の投稿は,たとえ氏名が記載されてい たとしても,それが本名であるかどうかの確認は困難であり,ハンドルの表示以上の役には立たない.こ れらのことから,ハンドルによる投稿者の表示は,認められる結果となったと考えられる.
ハンドルを用いた投稿は,通常は読者に投稿者の正体が分からないことが投稿者に期待されるため,現実 の人間関係を離れた仮想的な人間関係であると投稿者に意識させる効果がある.このため,ともすると無 責任な記事を投稿するケースもある.その一方でハンドルで識別される投稿者の新しいパーソナリティ を作り上げるための注意と努力がなされる場合も多い.
この話題の発端となった堀氏のハンドル使用に関しては,fjの規約上の問題は少ない.即ち,堀氏は「極 楽大使」なるハンドルを本文中に記載し,From行の氏名を表示に該当する部分にも 「Paradise-Ambassador」と記載し,本名は示されていない.しかし,ネットニュースのメッセー ジに要求されるのは,有効なユーザIDがFrom行に記載されることのみであり,堀氏の記事にはfjの規約上 の問題はない.但し,堀氏の所属組織の規約として本名での発信を義務づけており,後にFrom行に記載す るようになった「HOLY」も本名であるとの主張の正当性は疑わしく,堀氏の所属組織内部では問題 とされる可能性がある.
3. アドレス偽造
スレッド2は「ビル ゲイツ」氏の投稿から始まっている.これはFrom行を偽造した記事であり,匿名記事 の一種と考えられる.前節のスレッドに現れた「無記名(Usenet Boy)」からの記事 [112.10.3.1]等も,これと同様に,ヘッダー情報を偽造した記事であり,記事 [112.10.3.1.1]において非難されている.Usenet Boy氏は, <Anonymous@earthquake.com>なるユーザIDを記載している.しかし,Path行その他の情報からは, bctel.ca から実際の投稿を行なっていると推定される.また,eartuquake.com は実在のサ イトであることから,問題投稿に対する非難が関係のない組織に向けてなされるなどの問題も招く.なお, Usenet Boy氏は「無記名 (日本人は人を馬鹿にするが,日本人自身が馬鹿である)」という文字列 を From 行においた記事およびUsenet Boyというハンドルを用いた記事を,96年12月よりカナダの pntn02m01-42.bctel.ca経由で,多数投稿している.
以下に,アドレスを偽造した記事の一例を示す.記事内容がアドレス偽造の議論であると同時に,この記 事自体が From 及び Organization を偽造した記事となっている.即ち,投稿者はBig Ben's Providers に所属するusa@ussr.go.ukであると称し,投稿者宛のメイルを usa@ussr.go.uk に送るように求めている.しかし,Path 行,Message-ID: <4qu1ad$8i7@fu.bekkoame. or.jp>,及び NNTP-Posting-Host: fko0143.bekkoame.or.jpより,こ の記事が日本国内にあるfu.bekkoame. or.jpから投稿されたことはほぼ明らかである.もちろん, 自称 Charles 氏が後の投稿で主張するように,日本に国際電話をかけてfu.bekkoame. or.jpに接 続することは不可能ではない.しかし,あえて費用のかかる方法を選択する理由は見い出せない.
この記事はあまりにも荒唐無稽であり,From 及び Reply-To に示されたアドレスも無効と考えられ,無駄 な記事が投稿されたという以上の害はないと思われる.しかし,同じ手段で実在の人物になりすますこと も可能である.実在の他人になりすまして記事を投稿することは,アドレスを偽られた人の名誉を傷つけ, あるいは抗議メイルの殺到を招いて業務に支障を来すなどの損害を与えかねない.アドレスの詐称に関し ては接続組織のレベルでブロックするなど,サイトの管理強化が必要と思われる.
Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!etlnews.etl.go.jp! etlinn.etl.go.jp!etl.go.jp!trc.rwcp!rwc-tyo! news.iij.ad.jp!iijnet!gundam-lab-news! watagashi.bekkoame.or.jp!fu.bekkoame.or.jp!news From: Charles4. 匿名サイトからの記事Newsgroups:fj.news.usage Subject: I am Charles ( Who do you think I am? ) Followup-To:fj.news.usage Date: 27 Jun 1996 13:11:41 GMT Organization: Big Ben's Providers Lines: 64 Distribution: world Message-ID: <4qu1ad$8i7@fu.bekkoame.or.jp> Reply-To: Charles NNTP-Posting-Host: fko0143.bekkoame.or.jp X-Newsreader: AIR News 3.X (SPRY, Inc.) 毎度お騒がせしております.ロンドンのチャールズと申します. <中略> Charles Williams, London U.K. usa@ussr.go.uk, Big Ben's Providers
4.1 スレッドの内容From行の偽造による匿名記事を投稿する行為は,インターネットの規約にも反する.しかし,オランダにある匿 名サイトを利用して投稿されている nobody@replay.com をユーザIDとするものは,インターネッ トの規約上は正当な記事である.但し,このアドレスは複数の者に共用されること,メイルが投稿者に届 くアドレスではないことから,fjの規約には反する.
replay.com は,社会的な弱者のために匿名での情報発信を助けることを大義名分としている.し かしながら,実際にfjに投稿された記事内容をみる限り,匿名投稿の必要性は認められない.
fj.news.usage に最初に現れたreplay.comからの匿名記事は「destroy the fj.* !!!」と 題す記事[504]で,1996年6月2日に投稿されている.内容は,fjにおけるルール逸脱に対す る指摘が厳しく,fjは嫌いであるとするものであった.以下のスレッドにおいて,匿名投稿者が問題とし た点は事実誤認であることが指摘され,また,fjが嫌いなら読まなければ良かろうとの意見が投稿されて いる.
destroy the fj.* !!! [504] +13,20 usage/19960602-03 nobody@REPLAY.COM (Anonymous) <4oqumk$7g8@basement.replay.com> 投稿記事の削除=意見の封殺 も平気であの連中はやっています ... はっきりいって,わたしはfjが嫌 いです. [504.1] usage/19960602-04 愛の戦士アノニマス投稿ということもあいまって,上の文面だけでは甚だ説得力に欠けるというのが読み終えた私 の印象であります. [504.2] usage/19960602-08 hosokawa@mt.cs.keio.ac.jp (HOSOKAWA Tatsumi) <4orjla$8om@primrose.mt.cs.keio.ac.jp> 替え歌を投稿したい人自身を代表した方が JASRAC におうかがいをたてたのです. [504.3] usage/19960602-11 shiba@luna.sci.ibaraki.ac.jp (T. Shibatsuka ( )) もし彼らよりしっかりとした意見があるなら 彼らを納得させる論理があるなら それが,fjで受け入 れられると思います. [504.4] usage/19960602-21 Noboru Miwa <31B1AA40.2638@mb1.nkc.co.jp> 自由に発言出来るとは思いましたけどね.その代わり他の人も自由に発言するという,ただそれだけの事 だと思います. [504.5] usage/19960602-23 void@merope.opus.or.jp (Kusakabe Youichi) <1996Jun2.190103.12623@merope.opus.or.jp> なんだ.同一人物が書いてるじゃん.あきれた... [504.6] usage/19960602-25 komatsu@nimc.go.jp (KOMATSU Toshiki) <4orh2a$h2f@ripspost.aist.go.jp> そういう世界を自分で作るべきです. [504.7] usage/19960603-04 mim@pav.hitachi-sk.co.jp (Yoshitsugu Mimuro) <4otibt$31v@ns.hitachi-sk.co.jp> 「見なければイイ」って言う忠告しかできません. [504.8] usage/19960603-06 yamada.ikuji@promote.tsh.cae.ntt.jp <960603111622.M0300407@taro06.promote.tsh.cae.ntt.jp> *嫌い*ではなく,「今,何をどうすべきか」という意見を述べて頂きたいものです. [504.9] usage/19960603-08 ochiai@momo.mmp.cl.nec.co.jp (K.Ochiai) この記事は単に感情をぶちまけてるだけだし,怪しいFromもあなたのこの記事に対する無責任性を露呈し ているだけのような気がします. [504.10] usage/19960603-17 Hidehiro Nakauchi <31B28373.208B@cmn.mkhar.sharp.co.jp> fj.miscにフォローしちまったい. [504.11] +1,2 usage/19960602-12 matuzaka@kt.rim.or.jp (Matsuzaka Daisuke) <4orm18$8lt@news.kt.rim.or.jp> nobody@REPLAY.COMなんてアドレスからこんな感情的な記事をだしてるあなたも同レベルだと思いますが. [504.11.1] usage/19960602-16 matuzaka@kt.rim.or.jp (Matsuzaka Daisuke) <4os4gs$a15@news.kt.rim.or.jp> >自分の名前・所属も書かずにだしてるあなたも同レベルだと思いますが. とします. [504.12] +1,3 usage/19960602-09 hosokawa@mt.cs.keio.ac.jp (HOSOKAWA Tatsumi) <4ork0b$8om@primrose.mt.cs.keio.ac.jp> パソコン通信はシスオペ削除がありますが,fjにはありません [504.12.1] +1,2 usage/19960602-18 onizuka@nisiq.net (Kentaro ONIZUKA) 簡単にいえば,「fj潰せ!!」とかいう記事があってもよいのが,fjだと思いますよ. [504.12.1.1] usage/19960603-46 aa37091@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp (Masami Okunishi) いずれにしろ自由で活発な議論があるのが最低条件ですね. [504.13] +2,4 usage/19960602-20 Noboru Miwa <31B1AB7B.30B3@mb1.nkc.co.jp> 自由に発言出来るとは思いましたけどね.その代わり他の人も自由に発言するという,ただそれだけの事 だと思います. [504.13.1] usage/19960603-05 Noboru Miwa <31B24D63.42A@mb1.nkc.co.jp> 私の投稿が二重になってますが,これは私のミスです.失礼しました. [504.13.2] +1,2 usage/19960603-16 hosokawa@mt.cs.keio.ac.jp (HOSOKAWA Tatsumi) <4otr8i$l72@primrose.mt.cs.keio.ac.jp> 掲示版サービスが日本語に対応していないのが原因で起こった単なる事故 ... ということが,やさしく 説明されています. [504.13.2.1] usage/19960603-20 asada@three-a.co.jp (Takuya ASADA) 匿名の是非ウンヌンはさて置いたとしても,連絡先が確保できないのは,こういう時にコマルですね. 4.2 匿名サイトから投稿された記事の解析
nobody 氏は,スレッドを形成しての反論をほとんどしない.nobody氏がほとんど自らが投稿したニュース グループを読んでいないのではないかという疑問も出されている.この点に関しては,匿名サイトからの 投稿に際してReferencesを正しく設定することが困難であるため,フォローアップも独立した投稿として 扱われている可能性もある.このため,匿名記事の解析はスレッド単位で行うことは困難と考え,記事単 位で解析を行った.匿名サイトから投稿された記事は解析対象範囲において1452件認められた.しかしな がら,解析期間の後半では,転送拒否サイトの増加や第三者キャンセルにより,匿名記事の転送が阻害さ れている.そこで,前期の部分に相当する,1997年10月以前にnobody名義で投稿された全ての記事を対象 として解析を行なうこととした.
前記スレッドを形成したnobody氏からの最初の記事が投稿された後,約一月半の間に nobody@REPLAY.COM (Anonymous)およびnobody@flame.alias.net (Anonymous) 名義で 24 件の記事が投稿された.内容は,先の記事と同様,fjに対する反感と「常連」に対する非難が ほとんどである.fj.news.usage は,fj以下のネットニュースの使い方に関して議論する場であ り,不適切な利用を戒める記事が多く投稿される.nobody 氏の主張の論旨は,インターネットはもっと 自由な場であるべきであり,細かい規則を設けるべきではなく,これを守らない記事に対する指摘は一種 のイジメであるというものである.
これらの匿名記事のいくつかは,それ自体が厳しい指摘を行なってきた特定の投稿者を非難するものであ り,nobody 氏の批判する行為自体を自らが行なっている形となっている.また,これらの記事の大半は 暴言に近い記事である.一例を以下に示す.
From: nobody@REPLAY.COM (Anonymous) Date: 24 Jun 1996 23:28:02 +0200 Message-ID: <4qn192$jsh@basement.replay.com> いるねえ つまんねぇことを毎度のたまってる,ハエみたいな常連が くさかべ えんどう しまだ まつおか 〜 こいつらのために fj.junk-people fj.unko fj.gero fj.baka fj.dust fj.fucking 〜 とか収容施設つくってやれば? そのほうが雑音がはいんなくていい1996 年の nobody 氏の投稿は 7月16日を最後に収束したが,翌年同アドレスより投稿されたfj批判の短 文とマルチ商法への勧誘記事に続いて,5月16日に匿名投稿の方法を解説する記事が投稿されると, nobody@replay.com からの記事数は一挙に増大した.1996年6月から1997年10月までの間に nobody@replay.com から fj.news.usage への月別投稿件数を下表に示す.
nobody@replay.comからの投稿件数推移
月 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 件数 20 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 48 230 260 106 100 141 1997 年 5 月の匿名記事の内容は,半数の 24 件が,匿名投稿の方法,利用法の提案,質問など 6 件, テスト 13 件,匿名を勧める記事 5 件と,匿名投稿それ自体に関する記事で占められている.その他の 内容として,fjや常連を批判する記事が 12 件 (内 5 件は Gokuu 氏に対する批判),逆に常連を支持す るものが 3 件,意味不明の記事が 7 件,宣伝記事 1 件,end 対策のための全文引用記事が 1 件となっ ている.
6 月に入ると, nobody@replay.com からの投稿件数は急増する.その内容は,以下のものである. 6 月から 10 月にかけての nobody 氏の投稿内容の月別推移を下表に示す.
匿名投稿の内容と月別推移
投稿月 6 7 8 9 10 合計 匿名投稿に関するもの 匿名支持 17 34 8 2 8 69 匿名反対 2 2 4 8 自虐的内容 9 9 匿名での会話 8 2 2 1 13 匿名投稿の方法紹介 8 13 8 6 16 51 匿名投稿に関する質問 3 1 1 5 匿名投稿のテスト 34 25 9 4 9 81 意味不明,無内容 53 25 13 13 45 149 fjに関する批判,議論 fjに対する批判 9 4 4 1 10 28 中立的評論 6 1 1 8 他の記事への批判 6 5 8 8 7 34 end 行対策 18 18 常連批判 31 90 14 10 15 160 常連支持 4 2 5 2 13 常連への中立的評論 2 2 4 8 ウエブページの紹介 2 2 4 社会問題 政治批判 6 2 5 8 3 24 企業批判 5 2 7 ネット,計算機 6 6 報道の紹介 4 5 1 1 11 酒鬼薔薇関係 16 24 11 20 8 79 オウム真理教関係 2 6 3 1 12 ウエブページの紹介 3 4 7 営業関係 広告宣伝 1 1 3 1 6 アダルトページの宣伝 5 1 6 ビジネス批判 1 1 鼠講の勧誘 3 2 5 鼠講の勧誘批判 8 2 1 11 第一のカテゴリーは,匿名投稿に関する記事であり,
が投稿されている.意味不明の記事の一部はテストの意味合いでなされていると思われる.なお,「意味 不明」という分類は, fj.news.usage の記事として意味が読みとれないという意味で分類してお り,サブジェクトを並べると単語が読めるものや,「火暴」などの文字の遊び,テキストで絵を表示した も,わいせつ用語のコレクションなど,投稿者の意図が読みとれるものも含めている.
- 匿名投稿を支持する記事 69 件
- 匿名記事に反対する記事,キャンセルの呼びかけ 8 件,
- 匿名投稿に関する自虐的な記事 9 件,
- 匿名投稿の方法を紹介するもの 51 件,
- 匿名投稿に関する技術的な質問 5 件,
- テスト投稿 81 件,
- 単なる会話 13 件,
- 意味不明の記事 149 件
匿名投稿の方法を解説する記事は毎月 10 件前後継続的に投稿されており,新規の匿名投稿者の呼び水と なっているものと思われる.匿名投稿を支持する記事およびこれに反対する記事は前半で多いが後半では 少なくなっている.これは,後半に至って匿名投稿の存在自体が既成事実化したため,その妥当性に関す る議論は意味を失ったためと考えられる.匿名投稿に関する自虐的記事は,ある nobody 氏の屈曲した感 情の表現とも読みとれるが,nobody の記事をキャンセルすることを勧める,匿名記事反対の立場で投稿 された記事であるとも解釈できる.
第二のカテゴリーはfjのニュースグループ,特に fj.news.usage に対する批判と,そこに投稿し ている常連に対する批判およびこれに関連する議論であり,
が投稿されている.常連批判記事の多くは特定の個人名をあげて雑言を浴びせるものである. fj.news.usage に常連から投稿される記事に多い,ルール違反に対する厳しい口調での非難に対 して,もっと丁寧に指導すべきとの主張は合理性があるが,nobody 氏の論調も決して丁寧なものではな く,これらの雑言を常連投稿者の厳しい口調の記事の書き方に対する批判として正当化することは難しい.
- fjに対する批判 28 件
- 常連批判 160 件,
- 常連支持 13 件
- 中立的な評論 8 件,
- 他の記事に対する指摘,評論 34 件
- end 行対策 18 件
第三のカテゴリーは,社会の動きに関連するものであり,
が投稿されている.
- 政治批判 24 件,
- 企業批判 7 件,
- 報道を紹介するもの 4 件,
- 酒鬼薔薇事件に関するもの 79 件,
- オウム真理教に関するもの 12 件
この中では,酒鬼薔薇事件に関する投稿が極めて多いことが注目される.内容は,事件の詳細を報告する ものと,犯人の本名や家族構成を公表するもの,及び酒鬼薔薇,あるいはその本名をハンドルとした悪戯 的記事に分類される.酒鬼薔薇事件は,nobody 氏の強い関心の的であると同時に,その犯人をある種の 「いじめ」の対象ととらえていることをうかがわせる.
酒鬼薔薇に関する記事と対象的に,オウム真理教に関する記事は,オウム真理教シンパから投稿されたと 思われる内容の記事がほとんどである.オウム真理教が宣伝の道具として積極的にネットニュースを使っ ている可能性もある.
第四のカテゴリーは営業目的で投稿された記事とそれに対する反応であり,新ビジネスの宣伝,アダルト ウエブページの紹介,鼠講の勧誘及びこれらに対する批判が投稿されている.鼠講の勧誘記事は 7 月に 3 件が投稿されているが,送金先の氏名を表示したため,「詐欺師のリスト」などの形で激しい攻撃に晒 される結果となった.10 月の鼠講勧誘記事は,直接リストを提示せず,コンタクト先を紹介する形に変 化している.
4.3 nobody 氏に攻撃された人たち
常連投稿者に対する批判の多くは特定の個人を非難するものである.非難の対象とされた投稿者を下表 に示す.石田氏,佐藤文平氏は,常連といっても比較的最近参加した者であり,更に, Gokuu 氏,光ファイバー氏,Usenet Boy 氏,Dr.X 氏はほとんど nobody 氏と同じ範疇に属す投稿姿勢を とっている.1996 年の nobody 氏の批判対象は,古くからの投稿者である,日下部氏,松岡氏,遠藤氏, 松田氏等であったことから,多少状況が変化している.97 年 6 月から 10 月までの間に nobody 氏に 2 回以上名指しで批判された常連をそれぞれのグループ別に示すと以下のようになる.
nobody氏の批判対象
月 6 7 8 9 10 合計 古くからの常連 日下部氏 13 4 5 21 辻氏 3 4 1 8 松岡氏 2 1 1 4 鈴木裕信氏 4 4 久保田氏 2 1 3 木村氏 2 2 崎山氏 1 1 2 小計 19 13 10 2 1 45 新しい常連 石田氏 2 56 2 5 65 佐藤文平氏 3 1 4 小計 5 57 2 5 69 匿名の常連 光ファイバー氏 7 2 4 4 17 Dr. X 氏 6 6 Gokuu 氏 3 3 Usenet Boy 氏 2 2 小計 3 15 2 4 4 28 一般に,古くからの投稿者は,ネットニュースの秩序を維持しfjの文化の固定化を目指す傾向がある.新 しい投稿者はfjの文化から逸脱する傾向にあり,これが古くからの常連の非難の的となる場合が多い.こ の批判を不服として新しい参加者が反発するというのが, fj.news.usage における論争の一つの典 型である.古くからの常連の指摘に対して,その内容よりはその指摘の仕方(用語の厳しさや,説明の不十 分さ等)が問題であると,多くの場合,新しい参加者は主張する.
nobody 氏(Gokuu 氏等の匿名常連投稿者も同じく)のfj及び古くからの常連に対する批判の論拠も,当初は 同様の論調を踏襲してきたが,前述のごとく,その記事自体が暴言に近く,説得力を持たない.そして, 特に後半になるに従って,批判の理由は論理ではなく感性に基づき,その論調も,個人攻撃の色合いを強 めてくる.
攻撃の対象となる者は,第一に投稿数が多く目立つものであり,主義主張は問われない.例えば,Gokuu 氏は日下部氏をはじめとするfjの古くからの常連に繰り返し非難を浴びせており,nobody 氏に極めて近 い立場にあるにも関わらず,偽造記事による攻撃を含む nobody 氏の厳しい非難の的となっている.1997 年 4-10 月に一ヵ月 50 件以上の記事を fj.news.usage に投稿している者は下表 に示す通りであり,月あたりの投稿数の多い者が nobody 氏の批判の対象になり易 いことが分かる.
投稿数の多い投稿者
月 4 5 6 7 8 9 10 bunpei@powernet.or.jp 0 65 391 3 0 26 0 佐藤文平氏 nobody@REPLAY.COM 1 48 230 260 106 100 141 匿名氏 void@merope.opus.or.jp 166 173 73 69 101 29 26 日下部氏 smatsuda@molbio.med.osaka-u.ac.jp 81 161 128 45 24 0 0 松田氏 smatsuda@mc.med.keio.ac.jp 0 0 0 0 29 84 38 同上 aberration@bekkoame.or.jp 0 0 0 0 44 155 0 jcol@leo.bekkoame.or.jp 0 0 0 0 0 125 0 kuno@gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp 0 0 1 0 1 0 118 久野氏 ktokita@fsinet.or.jp 0 0 0 0 115 53 0 ktokita@st.rim.or.jp 0 0 0 106 2 0 0 fwhn0251@mb.infoweb.or.jp 60 92 43 68 64 18 7 Gokuu 氏 lala-z@cg.NetLaputa.or.jp 90 17 2 0 0 0 0 松岡氏 asada@three-a.co.jp 87 32 0 0 0 0 0 kawa@osk.threewebnet.or.jp 0 84 6 0 0 0 0 tomokazu@roland.co.jp 22 79 69 39 25 10 3 ahmygoddess@mail.wbs.or.jp 0 0 0 0 0 0 66 光ファイバー氏 raeva@t3.rim.or.jp 6 14 17 65 34 27 6 s\_kishimoto@justnet.or.jp 9 65 0 0 0 0 0 ohshimak@super.win.or.jp 0 14 31 0 25 63 23 tisi@gol.com 39 56 62 22 35 31 26 石田氏 miyano@yokohama.tao.or.jp 61 58 31 21 20 14 18 Usenet\_Boy@hotmail.com 0 0 0 1 0 59 0 Usenet Boy 氏 mizuki@tky.threewebnet.or.jp 0 1 57 0 0 0 0 sk@iaw0.attnet.or.jp 0 0 0 11 56 40 55 itakura@dps.ntts.co.jp 17 54 17 15 23 37 11 ayrton@fsinet.or.jp 0 0 22 45 53 51 6 tatsuno@tis.ncl.omron.co.jp 7 40 52 9 4 1 0 miyachi@rosetta.sccs.chukyo-u.ac.jp 51 39 0 0 0 0 0 特に多数の批判を受けているのが,7 月の石田氏である.彼は, nobody@ replay.com から の記事を第三者キャンセルしたということで多くの批判を集めている.同様な現象は,96 年 6 月に匿名 記事の配送をするべきでないと主張した松田氏に対する批判が集中にもみられる.また,石田氏の投稿し た古い記事には,民族差別的内容が含まれており,これを掘り出して批判していることは,攻撃しやすい ものを攻撃するという,酒鬼薔薇に対する執拗な攻撃と同様の「いじめ」の要素も含まれている可能性も ある.
「いじめ」の構図は鼠講勧誘記事に対する批判記事にもみられる.これらの記事は,鼠講の危険性を指摘 するものではなく,そのリストに送金先として表示された氏名を「詐欺師のリスト」として繰り返し投稿 するという形態をとっており,違法行為を行なったものを晒し者にするという側面が強く現れている.も ちろん,ネットワーク上に鼠講がはびこることは好ましいことではなく,nobody 氏の記事が鼠講勧誘記事 の抑制に意義があったことは確かである.
4.4 nobody 氏のプロファイル
以上をまとめると,第一に,nobody 氏の投稿動機は何らかの主張を行なうことにより社会を変革するとい うよりは,自らの感情を人目のつくところに置く行為自体にあり,ネットニュース上で目立つ,多数の記 事を投稿している者を,その内容に関わらず非難していると思われる.人々がインターネットに参加する 動機として「自己(パーソナリティ)確立」,「自分探し」があるといわれているが,目立った者を 非難して反応を得ることに,自己の存在感を確認するという意味を見い出しているとの印象を受ける.
第二に,nobody 氏の様々な記事に「いじめ」の構図が認められる.但し,常連に対する「いじめ」はあま り成功していない.これは,攻撃の対象となるほどの多数の記事を投稿している人は,激しい議論を経験 しており,少々の批判や攻撃には動じないこと,ネットニュースを通じた言葉による攻撃で与えられるダ メージには自ずと限界があることによる.後期に至ると,批判対象者の個人情報を調べて住所を投稿し, 襲撃を匂わせる記事も投稿されている.
第三に,酒鬼薔薇事件に関連する投稿が 79 件の多数に及び,nobody 氏が酒鬼薔薇事件に強い関心を寄せ ていることをうかがわせる.これは,単に目立つ存在に対する嫌悪感や,「いじめ」の対象としての手頃 さにより酒鬼薔薇事件の犯人が攻撃されているだけでなく,酒鬼薔薇事件で浮かび上がった自己の存在感 の喪失という問題を nobody 氏が共通に抱えている可能性もある[豊泉 97].
nobody 氏の記事から全般的に受ける印象に,nobody 氏のコミュニケーション能力が他のネットニュース 投稿者に比較してかなり劣っている点があげられる.これは,フォロー記事の投稿やキャンセルが困難で ある等,replay.com を通して投稿することに由来する技術的な制約もあろう.しかし,他者との対話で世 界観を深めたり,議論により合意を形成するという経過がほとんどみられないこと,nobody 氏の他者との 関係は,反発して雑言を浴びせること,あるいは声援を送るといった,自己の感情表現に限られており, nobody 氏自身の特性としてコミュニケーション能力に劣っているものと推定される.
nobody 氏の記事のかなりの割合を占める意味を認め難い記事は,匿名投稿のテストとして投稿された可能 性もあるが,投稿という行為自体を目的としているとも考えられる.これらの意味不明の記事は,他者の フォローは見込めないものの,少なくとも自分の書いた記事が共通の場に提示されるという,目に見える 結果に結び付いている.
fj.news.usage に投稿された匿名記事に,そのニュースグループ本来の目的(ニュースグループの 使い方に関する議論)に即した有用性を認めることは困難であるが,nobody 氏は自己の存在感の喪失とい う問題を抱えており,ネットニュースに投稿し,その投稿に対する反応を得ることにより自己の確立を求 めている可能性もある.自己を正当化する論拠として, fj.news.usage における常連の厳しい糾弾 の口調は批判されて然るべきとの視点,インターネットは自由であるべきとの理想論,およびハッキング に対するヒロイズムなどが混然一体として横たわっており,一方にネットニュース上で目立つ人々に対す る反感,あるいは,大学や企業などの肩書に対する反感があり,これを他者と共有できると考えている節 がある.
nobody 氏の投稿する記事には議論に値する提言を見出すことはできず,ネットニュース上では単なるノイ ズとしてしか認められていない.匿名投稿に意味があるとすれば,それは投稿者自身の満足感(nobody 氏 の言を借りれば「ガス抜き」)であり,自己を失った人々の悲鳴を他者が認識する機会としてであろう.こ れを,ネットニュースの本来の目的に反するとして否定することもできるが,社会問題解決の一つの機会 として肯定的に評価する余地があるかもしれない.
参考文献
豊泉 97:豊泉周冶「アイデンティティの社会理論 --- 転形期日本の若者たち」青木書店(1997)